
ラストシーン、銭形警部がやってきてルパンが盗みを働いたと因縁をつけ追いかけようとします。
クラリスはルパンが何にも盗んでいないので、何にも盗んで居ませんよ?と銭形警部を嗜めます。
銭形警部はクラリスに「あんたの心盗んだやんけ」と言ってウィンクして去っていきます。
はあ、何すかねこれ?
えっと、クラリスはそもそもルパンについて行こうとしたんですが拒否されたんで、せめて追手がかからないように銭形警部に事情説明をします。
まあ出来のいい女性にありがちな行動ですよね、相手の利益を守るために先回りして行動するって。
でも銭形警部は取り合いません、「奴はとんでもないものを盗んでいきました」と公妃に公然と逆らいます。
そこで例のセリフが出るわけです、「(泥棒稼業すら学んでついて行こうとさえした)あなたの心(を盗んだん)です」と。
で、クラリスはやや微笑んで「はい」と応じます。
これってなんか変ですよね?
じゃあ実際にはどういうやりとりなのかじっくり分解してみましょう。
最初にルパンがクラリスを振り解いて次元大介の運転する車で逃げます。
そこに銭形警部がやってきます、が、多分これわざとこの段階で銭形来たと思います(説明は後ほど)。
銭形警部は「盗んだ」とルパンに因縁をつけます。
これおかしいです、何も盗んでない事は銭形は知ってます。
だってカリオストロ城で一緒に行動し最後は共闘してカリオストロ伯爵の野望を打ち砕き、偽札を世界にばら撒く犯罪を摘発した事で彼は大手柄を挙げるとともに彼一流の正義感も満たされて幸せホルモン全開の筈です。
それもこれもルパンの共同歩調あっての事ですし、今回に限って言えばルパンは世界の貨幣経済を救ったのです。
なのに何で盗んだなんて言うんでしょう?
これもご説明は後ほど、とにかく矛盾点を洗い出します。
さてさて、ここでクラリスはルパンは何も盗んでないしむしろ助けてくれたのだと銭形警部に説明します。
情状酌量を求めている訳ですね。
公妃としてこの国の危機を救った男を私に免じて許せと言っているような訳です。
これに銭形警部は反論します。
例の「あなたの心を盗んだ」ってやつです。
そして軽くウィンクします。
クラリスはこのウィンクで全てを悟って「はい」と答えます。
これって銭形警部は罪状を民事事件にしちゃってるんですね、つまりインターポールが介入するような話じゃない訳ですよ。
それで追いかける理由は窃盗じゃないよ、これはルパンを見たら逮捕を目指した行動をしなきゃならないから、この後の行動はその建前だよってわけでウィンクして知らせてる訳です。
クラリスは自分の意向に銭形が則った事を確認したので微笑んで「はい」と返事してる訳です。
じゃあ銭形警部は何だって追いかけるんですかね?
それはまあ役職的にしょうがないんですよ、逮捕しなきゃならん立場ですしルパンがカリオストロで英雄的活躍したところで過去にやった窃盗は映画冒頭だけでも国営カジノの金庫破りしてますし、若い頃のシーンでも掃除機で宝飾店の貴金属掃除機で吸い取って逃げてますしまあ前は真っ黒な訳です。
インターポールで明白にカリオストロ伯爵が偽札刷った証拠を見せても動けなかった建前社会(各国代表の前で証拠品の偽札を見せながら説明しても、インターポールは動かず銭形警部は拗ねて飲んだくれるってシーンありましたでしょ? 2021/12/07加筆)ですから、何があっても一応ルパンを追いかけるしかないの、ルパンを追ってる姿勢をインターポールのお偉いさんに見せとかなきゃならんのです。
でもクラリスにウィンクしてるからにはこの追いかけてるのも人が見てる間だけで、国境あたりでわざと逃してるんだろうなと思います。
だから先のルパンがクラリスと別れた後にタイミング良く走ってきた銭形警部ですが、あれも遠くで二人のやりとり見守っていて頃合いで出てきただけなんじゃないかと思うんです。
だって走ってきたのにまるで息切れてないでしょ?
というわけで、銭形警部があなたの心ですって言ったのはクラリスの一抹の寂しさを指摘したのと、公妃のご意向にそいますという意味なんじゃないかなあって思った次第です。
これも私の妄想です。