映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』オフィシャルサイト
最もメジャーなカルト デビッド・ボウイ(1947年- 2016年)の生涯から彼のインタビュー映像や音声を再構成して追加映像などを交えまとめなおした新手法と構成によるドキュメンタリーと私は捉えました。
デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームMOONAGE DAYDREAM
鑑賞した結果・レビュー
この映画は所謂ボヘミアン・ラプソディー路線に見られる「この人にはこんな歴史があり周囲の人はこう感じていました」と言った歴史、考察が一切語られません。
あくまでもデビッド・ボウイって知ってるでしょう?
という切り口で語られているのでWIKIレベルでもいいのでデビッド・ボウイがどういう歴史を持った人なのか1970年代、1980年代、1990年代の少なくとも各10年についてそれなりに知っていることが前提となった映画です。
彼に関して詳しいと自認している方からある程度は知ってるよという方くらいまでが楽しめるギリギリという感じです。
いきなり旧日本兵が彼を銃殺しようとして梅田行きの電車の前に立って京都で浴衣着て西ドイツの映像が流れてライブ映像が流れて気づいたらモダンがラブしてます。
彼をより知ることになる
デビッドボウイISを寺田倉庫で見た方などはこの映画を通じてより彼の深層に触れることになるでしょう。
そういう意味ではISの映像特典みたいな映画なので天王洲まで行かれたんでしたら是非この映画もご覧になった方がいいと思います。
1970年代の哲学的な発言は読み飛ばしていい
最後に個人的な感想を述べさせていただくと1970年代の彼は音楽を聴いている限りでは優れた輝きを放っているのですが映像で見る彼はなんだか辛いです。
インタビュアーの発言に対してやや間をとって返事しているのはおそらくあそこで考えている、明石家さんまさんの「あいつ引き笑いしてるやろ?あそこで何話そかなて考えてんねや」みたいなことを上岡龍太郎さんがおっしゃってましたが多分そんな感じなんじゃないかと思います。
彼も自己演出に必死だったんだと思うべきなのかなと感じましたが、ただ、この1970年代の彼の迷いがその先の彼の行動に大きく関わってはいるので発言そのものには注目しておいた方がいいとは思います。
映画は全てあなたに投げかけてしまう
この映画は見る人の知性が全てです。
監督は何も観客に投げかけません。
規定したり定義したりしないんです。
ただただ彼の発言と映像を並べて見てもらうだけです。
結論や感想は全て観衆に委ねられます。
そして映画は難しすぎて席はたっぷり空いてます!!
すっごいゆったり見られますよ。
デビッド・ボウイ好きならあっという間の2時間です。
見たことない映像とか見られますよ多分あなたが全て見たことがある人でもない限り。
最後にネタバレを含む映画の感想
1970年代にジョン、ミック、あと誰かと自分自身を並べて何かを語っているシーンがあります。
ルーリードだったかボブディランだったか忘れましたけどやっぱりこの彼自身を含めたこの四人は特別なんだなと思いました。
音楽的なことで言ったらピートタウンゼントやスティービーワンダー、イーグルスも出てきていいのかなと思いますが彼はあくまで自己表現も加えた社会的なインパクトのある人物名を挙げたのかなと感じました。
また基礎教養としてケルアックの路上や、ギリシャ神話の影響があったり戦争、飢餓、疫病という人類大きな危機のうちいくつかが解消に向かっていった一方で若者の中に閉塞感が広がり受け皿としてのパンクロックの登場を呼び込んでいたとNHKの番組で描かれていましたがそこへの橋渡しにこのデビッド・ボウイの過激な自己表現と自由というキーワードに絡んだ一連の行動があったのかなあとも感じます。
私が一番興味を引かれたのはだから彼ではなく彼のファンでした。
何か神を見失ったクリスチャンの娘や息子達が縋る思いで彼の元に駆けつけてるように見えました。
まるでジョンレノンが5年ぶりに新作アルバムを出したら「ジョンが1980年代を規定しに帰ってきだんだ!」と嬉しそうに話すヒッピーっぽい髪型の男性を思い出します。
ジョンはショーンの育児がひと段落して帰ってきただけなんじゃないかなとも思うんですが神格化された人って大変なんだなと思います。
このこと自体ではなく関連する事態としてデビッド・ボウイ口からも関連することが最初の方で語られています。
この発言自体はどうぞ映像で探して見てください。