なぜルパン三世は国営カジノから盗んだ偽札を捨てたのか? カリオストロの城 と刑事コロンボ権力の墓穴

シトロエン(田園ポテト 新百合ヶ丘店)

私なりの仮説)

インフレの発生と通貨信用が落ちるのはルパンの資産を目減りさせる。

「怪盗のくせに偽物つかまされた」と噂が流れ、この結果ルパン三世の名前が地に落ちるだけだから。


私なりに稚拙な証明)

 カリオストロの城で冒頭ルパン三世が偽札を捨てているのを見て「偽札だから(想定とあまりに違うものを摑まされたので)捨てるんだなあ」と納得していた私は特にこれを疑問に思いませんでした。

私は映画でもドラマでも疑問というものを持たずに見てしまう傾向があるんでしょうか?

ルパン三世が捨てるんだから捨てる程度の価値しかあの段階でなかったんだろうと納得してしまうのです。

でも、異論が出ていることを知って驚きました。


国営カジノで使用しルパン三世がよく見ないとわからないくらい精巧な偽札なら捨てなくてもいいのではないか?


疑問を持つ人はそう考えたそうです。

私もそれを知って確かに捨てるのおかしいかもしれないなあと納得してしまいました。

私は誰に何を言われても納得してしまうのでしょうか?

(主体性は特に感じられない・・・)


刑事コロンボ 権力の墓穴

 逆に偽札だから捨てるのだ。

という場合、どういう理由があり得るでしょう?

私考えました。

刑事コロンボ 権力の墓穴はカリオストロの城から遡ること四年前の1974にアメリカで放送された有名なドラマです。

このドラマの中にアーティー・ジェッセルという人物が出て居ました。

彼の人物紹介はコロンボ警部の同僚刑事によって概ねこんな感じで説明されて居ました。

「二十歳の頃からほとんどの期間を刑務所で過ごし、たまに出所してはシャバの空気を吸ってる男」

そのアーティーがハレー彗星の地球接近より珍しい事(嘘です、そんなにでもないけど)に丁度シャバに出ている僅かな期間の話がこの権力の墓穴です。

さて、アーティーはドラマの序盤で盗品を買ってくれる仲買人と会います。

場所は倉庫、廃屋、安酒場のどれで表現しても初めてそこに来た旅行客でさえ納得しそうな雰囲気のビリヤードのあるバーです。

しかし、せっかくやってきた仲買人からアーティーはお前の売り物は買わないと宣言されました。

理由は窃盗事件で夫人が殺害されており、その窃盗の手口がアーティーのものと酷似しているという噂が既に流れて居たからです。

ただ、実際にはアーティーは殺害もして居ないし、少なくとも問題のその窃盗事件はアーティーの犯行ではないのです。

ですが、窃盗の手口が同じなのでそっちの仲間からもアーティーの犯行とみなされ、ならばその殺人もアーティーの可能性があると考えられてしまって居ました(見直してみましたけど手口じゃなくて窃盗の地域がアーティーだけが窃盗している場所だって話でした 2021/10/09追記)。

仲買人はそんな事件に関連したブツを扱えないというのです。

さらに仲買人からアーティーは「当分取引できない」と言われました。


 さて、売り先を失ったアーティーの元へ今度は身分を隠したコロンボ警部がやってきます。

コロンボ警部はロサンゼルス市警の殺人科ですから、その件できたわけですが目的は逮捕ではありませんでした。

コロンボはまずスコッチ(何だろう?)をアーティーに奢ってから指輪を幾らぐらいになるかと言って見せます。

売りに来たように見せかけてアーティーに指輪を鑑定させました。

アーティーはほんの数秒その指輪を見てカウンターにその指輪を投げるように転がします。

 「どこで拾ったんだこんなガラクタをよ?」

コロンボがアーティーに鑑定させたのはダイヤではなく偽造されたイミテーションでした。

その後、刑事だとコロンボに名乗られたアーティーは帰ると喚き立てます。

その理由が面白くて「警察なんかと話してると健康に良くねえ!」とのことでした。

そんなバカな(笑)。

落ち着きを取り戻したアーティーにコロンボは再度聞きます

 「お前さんこういうものを盗む?」。

つまりさっきのイミテーションの指輪をアーティーは盗んだりするか?と聞くのです。

アーティーは答えます「それこそ仲間内の物笑いの種にならあ」。

実はこのイミテーションは客の依頼を受けた宝飾店店員が、知り合いに作らせた精巧なものでした。

依頼主である夫人は本物のダイヤを埋め込まれた指輪を売って現金化したのですが、売ったことを夫に知られたくなくてイミテーションを作って欲しいと依頼したわけです。

 さてさてどうでしょうか?

まとめます。


① アーティーは仲買人に不信がられた結果品物を捌けなくなった

② イミテーション(偽物)を盗んだとわかったら物笑いの種になるから盗まない


アメリカ西海岸の窃盗犯アーティー・ジェッセルは世界的に著名な怪盗ルパン三世とは違うかもしれません。

でもアーティーでも仲間内での評判って大事なのです。

偽札を摑まされたたルパン三世の評判は?

「夜人々が成し遂げたるもの」KENTMERE PAN 100
「夜人々が成し遂げたるもの」KENTMERE PAN 100

 リスクを背負ってルパン、次元、五右衛門のフルメンバーで突入、国営カジノから多額の紙幣を奪ったルパン三世一味ですが盗んだ紙幣はなんと偽物でした。

こんなもん使ったらルパン三世の評判はアーティーの言う「仲間内の物笑いの種」になります。

紙幣以外の盗品にも偽物の疑いがかかるかもしれません。

さて、偽札をルパン三世はどうするでしょうか?

カリオストロの城の冒頭のシーン、あの偽札を捨てるシーンに繋がりませんでしょうか?

あんなもん持って帰ってもルパン三世には何の得もないのかも知れません。

と言うわけで、私が妄想するに

 ルパン三世が偽札を捨てたのはルパン一族の名おれだから

なのではないかと思いました。