“Make Me
a Perfect Murder”
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刑事コロンボ(43)「秒読みの殺人」 (NHKBSプレミアム) 2022年7月16日(土)午後4:22~午後6:00(98分)
このドラマの影響
当初このドラマが与えた影響は主にフィルム映像の上映に関するものでした。
「パンチ」
劇中何度か出てくるこの単語が指し示すものは何か?
フィルム写真世代の人にはわかりいいんですがデジタル写真世代の人には新鮮かつ少し難解かもしれないです。
でも刑事コロンボは非常に丁寧に説明をしてくれるドラマなので、ちゃんと見ていれば「ふーんそうだったんだ、昔は大変だったんだなあ」とお想いになること請け合いです。
そしてこのパンチを知った当時の人たちは映画館やテレビ映画でこのパンチが出てくると「あっ!」と思う様になり、さらに夜の街で女性に「私は知ってるんだ!」という顔をする男性が現れ、「そうなんですか知らなかった物知りですねすごーい」という返事を同じ話を聞かされるたびに何度も女性は言わされる羽目に陥っていたとかいないとか?
ニューシネマパラダイスへの布石
視聴者的にはこの映画で知ったフィルムチェンジの仕組みが後のニューシネマパラダイス(1988年イタリア映画)を見る上で布石になってると思います。
あの映画の前半はフィルムチェンジする技師と少年の物語になります。
このドラマで技師のウォルターが14分過ぎあたりで説明してくれるフィルムチェンジの説明が非常にわかりやすくてユニークで楽しく愉快です。
これを知った上であの映画を見た人は「ああ、あの事か」とすぐにわかったはずです。
女性の社会進出とその難しさ
このドラマは犯人役の女優Trish Van Devere(トリッシュ・ヴァン・ディヴァー)さん演じる敏腕プロデューサー ケイ・フリーストンが社会に出て上がっていこうとする過程で起きた一つの事件を題材としています。
劇中でこの有能な女性はさまざまな能力を周囲に見せまた周囲もそれを認める凄腕。
しかし交際相手のマークは彼女に非常に非情な一言をかけます。
劇中ではこの一言は重要かつ正しい言葉だったんですが、ポリティカルコレクトしてるかっていうと現在の価値観で見てみる限りにおいてはこういう結末はちょっとなかったんじゃないかなあって思います。
そこら辺は無意識の性差別意識がこの時期のアメリカにも存在したのだなと私は勝手ながら感じました。
荒っぽい場面転換
このドラマの見どころの一つは場面転換の荒っぽさです。
なんでここでシーン繋いだんだろう?
っていう撮影状態の悪さが気になる部分が時々あって改めてみるとなんじゃこりゃ?という部分があります。
コロンボシリーズでそんな感想持っちゃう回は他にないだけに、ちょっと残念。
事件そのものの興味深さ
この殺人事件、刑事コロンボ史上でもなかなかのスリリングな殺人です。
興味深いのは見てる方がいつの間にか犯人役のケイに共感してしまうことです。
大丈夫かな?
と犯人の立場に立ってハラハラさせられる場面が出てくるっていうのがなんともこの回のすごいところですね。
殺人犯に共感するなんて現実社会では絶対ダメなんですけどね。
まあドラマなんで。
あとトリッシュさんの美しさにここは視聴者が負ける場面かもしれません。