保証修理可能なフィルムカメラPENTAX17
Threadsで書くと読んでくれる人多いんですよって話をしながらデモ機の前でちょっとお話をした。
17本体の写真を撮っていいですか?とカウンターで質問したのがきっかけでクラブハウスの人が出てきてくれて会話してもらえたのだ。
自分的にはハーフサイズになってることに関してはリソースを上手く活用できるいいコンセプトだなということをお伝えしてみたかったのだがどっちかっていうとクラブハウスの方のお話を伺う感じのバランスになってそこは上手くお伝えできなかった。
フィルムは高額、だからハーフはいい選択
昔は良かった但しフィルムの値段だけの話
写真フィルムは今高額なのだ、平成の前半から中期にかけて380円くらいで確か買えたはずのネオパンSSとか安くて性能の確かなモノクロフィルムや500円くらいで買えたカラーネガフィルムが富士フィルムからたくさん出ていた。
画質にこだわるなら500円の枠を超えてリアラエース(カラーネガ)やリバーサルのプロビア100F即ちRDP3が存在した、それでも一本ヨドバシ、ビック、さくらやで1000円以内で確か買えたと思う。
ヴィレッジヴァンガードのレジ脇にカゴに入ったアグファカラーネガフィルムもすごい安い値段だったと聞くし当時はフルサイズで撮っていても問題なかった。
だが昨今フィルムが高額なのだから効率よく使うべきだ。
PENTAX17のハーフという規格なら一本のフィルムを2倍使える。
どういうことかというと36枚とれるフィルムを買うとフィルムの1枚分に相当する面積の半分しか使わないようにできてるのだ。
ハーフだと効率よく撮れる理由
ざっくりしたイメージでお話しします。
普通に35ミリフィルムのカメラで撮影した時フィルムの表面にこういうふうに写るとするなら
フィルムの同じ面積を半分(ハーフサイズ)使用して写すのはハーフカメラだと思う、確か、だから下のような感じで映るんじゃないかと
同じ面積なのに2枚撮っちゃうから通常の2倍撮れるんだと思う、確か。
普通のカメラなら幅広に記録するところを縦長に半分だけ使用する。
だから普通にハーフカメラ構えて撮っても縦撮りになっちゃうので、PENTAX17のファインダーは縦長になってる。
スマートフォン世代には逆にいうとわかりいいのかもしれない。
じゃあ普通にカメラで撮るように横位置にするにはどうするかっていうとその場合はカメラを縦に構えるのだ。
縦に構えると横位置になり普通に横に構えると縦に撮れるというわけ。
ややこしいかな?
ハーフの弱点
フィルムの利用面積が小さいわけだからそれはデジカメで言うと画素数が落ちる。
2000万画素のデジタルカメラがあってこれをハーフ(例えばクロップするとかで面積を半分)にすると1000万画素になるみたいな話だ。
フィルムの面積が半分なんだから単純計算(※1)だと画質も半分に落ちる。
激減ってわけ。
じゃあそれ弱点なの?いや時代が違うよ、もういいんだよ画質とかは
ここからいよいよクラブハウスの方とお話しした内容であり意見の一致した部分なんだけどこれ弱点じゃないんですよね。
だってフィルムカメラで撮ってる人はもう画質求めてないもの。
むしろエモい感じに写って欲しいわけ。
もうデジタルカメラの
正確!
高画質!
とかウンザリしてるわけ。
いや、それがイヤだって意味じゃなくて疲れてるんだろうなって思うんですよ。
Z世代とかα世代って僕達が子供の頃に比べて社会から要求されることも多いし世界は正確で満ち溢れてる。
全てがトランジスタの3本足でできてる(スマートフォンの中身もトランジスタがとんでもない数集まってるだけで基本は同じなんです、量子コンピュータは違うけど)。
堅苦しい世界なんですよ。
そこでこう思うんだな。
ビリージョエルのウィーンという曲がアメリカのZ世代にウケているのは「疲れたよ」って意味かも?
スローダウンしなよクレイジーチャイルド
っていう歌詞から始まるこの曲に競争社会が激化し始める1970年代終わりの世界を歌ったこの曲の主旨がいきなり発露されてるんですよねこれ。
ビリー・ジョエルの50年近く前の曲「Vienna」がZ世代の女性たちの間で人気 「彼ほど20代の女性を理解している人はいない」
ビリーのヴァイナルアルバム時代(イノセントマンまで)はB面1曲目に名曲が集まってると個人的には思うんだけど、このウィーンもその一曲です。
発売から数年後に自分もこのアルバム買ったんだけど
ウィーン (Vienna) – 3分34秒
シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン (She’s Always a Woman) – 3分21秒
エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム (Everybody Has a Dream) – 6分38秒
この三曲は名曲揃いのこのアルバムの中でも特に名曲だなっていうか個人的にすっごいいい曲だと思ってます。
映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でも1970年代あたりから金融関係が急激に力を増して、あとビルクリントン政権時代の政権内部にいた人も1970年代からアメリカでも雇用者の賃金が伸び悩んでいるって指摘してる番組を何かで見た記憶があります。
このウィーンはそんな時代背景を持った曲なんじゃないですかね。
話がそれた・・・だからフィルムの曖昧な写りはとっても素敵に思えてるんじゃないかって意見です
だから正確に撮れることはそんなに重要じゃなくてむしろ曖昧に写ることのほうが大事なんじゃないかってこと。
だからこういうケントメア(モノクロフィルム)みたいなやる気があるんだかないんだかわかんない諦めのいいフィルムの写りとかたまんないよねって自分も思うんじゃないかなあ。
ということは画質が良くなくていいわけですよフィルムはむしろ。
だったら
フィルム高すぎる=2倍とれるハーフカメラの登場
フィルムの写りはなんとなくエモい感じでいい=じゃあ画質には拘らない
ってわけでハーフって最高の解決策なんですよ。
しかも普通にカメラ構えると縦撮り。
こういう構図で撮れてるんでいいわけですよね。
トイカメラブームを知ってるかい?
話長くなっちゃったから一行だけ。
西暦2000年前後にまだまだフィルム時代だったのにロモのLCAとかスメハチ、ホルガなどトイカメラブームがあって写りが曖昧で可愛いって女の子たちに写りの甘いカメラが大人気だった事があるんですよ。
abstractにPENTAXが良い
感覚を語っている社員さん
クラブハウスの方から繰り返し言われたのがPENTAX 17を使った「感想」だった。
その人自身がPENTAX 17を使ってみた感想を語っていたんだけど初めてフィルムカメラに触れた最初の頃を思い出したんだそうだ。
ジョン・レノン的にいうと「あの興奮を君にも教えたい」ってことになるんだろうな。
かなり抽象的に語られていたっていうこと=使ってみたらわかるさっていう部分が強いとその人が感じているからなんだろう。
その人も男性だったけど男性って普通は性能で語ることが多い(前述の私みたいに)。
スペックがさあ
っていう例のあれだ。
でもこのカメラのいいところは使った自分の感想が主だった。
そこが自分にはすごく引っかかった。
年齢は自分と変わらないまあ失礼だけど私も同じだから言わせてもらうともういい歳だと思う。
その男性が楽しそうに語るこのカメラはきっとそういう興奮を再燃させてくれる何かがあるんだろうと思った。
売り手が自分で撮ってる重要性
日産が興銀出身の幹部で満たされていた時代はどうしても経営を帳簿で正確に行うことが主体となってしまう。
これは良い面もあるけど悪い面もなくはない。
だから色々問題を起こしてはいるけどカルロス・ゴーンが日産の社長に就任してやったことがその興銀出身幹部を集めて土日にサーキットで日産自動車の車を運転させることだった。
車を売ってる会社の幹部が車を好きでなくてはならない。
なんかそんな話が職場にあった東洋経済かなんかに載ってた気がする。
このPENTAX 17を熱く語ってるクラブハウスの人も自分で使った感想を語っていることが大事だ。
カメラを使っている人がどんな気持ちなのか
写真を撮る人が何を大事にしているのか
それを知らなければ売り手としてはまだまだ十分とは言えないって言えるんじゃないだろうか?
その点でもこの抽象的な説明は正しく商品を理解していると言えるだろう。
レンズの焦点距離だとかレンズの解像性能とかよりまず使用感だ。
増してPENTAX 17は見るからに手首を利かせて撮るタイプのカメラ、スナップカメラに見えるだけに都会での機動力が何より重要なのだし。
スペック厨的見解も少し
ファインダー位置がレンズの真上にあるのも良いことかもしれない
大抵のカメラはレンズとファインダーの位置が違う、いや普通違う。
特にレンジファインダーカメラなんかはファインダーはカメラ向かって右上、レンズは中央やや下にあるのが普通だ。
ってことはファインダーで見たシャッターを切った瞬間の映像と撮れる映像は違うところから見ていることになる。
フィルムと人間の目がそれぞれ別の場所から見てるんだから結果がズレるのは当然のこと。
しかしペンタックス17はレンズの真上にファインダーがあるロモLCAみたいな構成だ。
だから高さはずれても左右のずれはあんまり無いって事かもしれない。
ゾーンフォーカスなのでピントは気にしない
悪く言えばピントはあんまり気にしないで撮るカメラだ。
ということは撮るって決めたら即シャッターが切れるって事。
スナップはノースアメリカンP51ムスタング(第二次大戦後期の戦闘機)と同じでヒットアンドアウェイ方式だからシャッターの瞬間と前後の時間をなるべく短くする必要がある。
ピントをじっくり合わせてる時間は
「なーーぁいんです(THE OCでライアン・アトウッドの日本語吹き替えバージョンで読んでね、わかる人いるのか?)」
私も
「世界最速のオートフォーカスは置きピン」
と言ってクラブハウスの方と笑い合ったけどそういうことで、ピントリングが回転しない分電動のオートフォーカスよりこのゾーンフォーカスの方が速いのだ。
ただしピントはそんなに正確じゃない。
じゃあどうするのか?
どうしもしないかもー。
だってフィルムカメラは「曖昧にまったり」写っていれば良い時代だからだ。
本体は非常に軽量である
これは会話にも出たことなんだけどフィルムカメラはデジタルカメラを使い慣れてからフィルムカメラに戻った時にカメラが重いなと感じることが多い。
これはデジタルカメラが極力軽量化されていてつまり強度をもちながら軽量化に成功しているっていうことが言える。
デジタルカメラのEOS M6で撮り慣れてしまうとフィルムカメラのコンタックスARIAが非常に重く感じられるのだが、じゃあコンタックスARIAがなんて言われて売られていたかというと「小型軽量」で「女性にもお使いいただける」だったと思う確か。
自分はコンタックスのMMマウントレンズが使えてローエンドつまり一番安いボディを買いたいからARIAを買ったんだけどコンタックスってMF(ピントがマニュアル)だからファインダー性能が手抜きなしでめちゃくちゃ使い勝手のいいカメラだった。
しかも街中を撮るから当時の一眼レフにしては軽量コンパクトでとっても気に入っていたのだが令和になって取り出してみると重い、重い。
こんな重量物を持って都会を歩いてたのかと自分で自分が信じられない思いだった。
PENTAX17はこの点も解消されているのが美点だ。
しかも握った感じボディが握るこちらの手の力に負ける感じは微塵もないしっかりした剛性を持っている。
プラスチック感は強い触感だけどだからってボディがベコっと凹む感じはないのがすごい。
今時のデジタルカメラの軽さと剛性の両面を受け継ぎながら出来上がった仕上がりのいいボディだと思う。
おしゃれアイテムとしての役割は?
最後にポパイカメラ的にな視点でどうだろうか?
一応ストラップはハンドストラップだがストラップのフックはボディ左右にありネックストラップにも合わせられる。
つまりポパイカメラで女性がコンパクトカメラを購入する際にネックストラップとカメラ本体を合わせて見栄えをチェックしているようなカメラの下げ方も複数選べるようになっている。
残るはボディのデザインだがこれはちょっとエモいとは言えないかもしれない。
昭和テイストというより今時感が強いのでその辺はロモグラフィーとは一線を画すと言えるので注意が必要だ。
どうしても衣装とカメラを合わせたいというのであれば中古のリコーハーフみたいなカメラの方がいいだろう。
このカメラはあくまでフィルムを楽しむ最新カメラという位置付けで捉えた方が無難だ。
※1
撮影される画像の画質ってフィルムや受光素子のコンディションも大事だけどその前のレンズも大事なので、どんなにいいフィルムや受光素子を使っていても前にあるレンズがしっかりしてないとそんなにいい映像が撮れるってもんでもないらしい。
なのでレンズがいいからとかフィルムや受光素子がいいからという簡単な問題でもなんだろうと思う。