写真美術館には数年ぶりにきました。
毎回何を展示してるのかを事前には知らずに来てチケットを買い展示を見て帰るの繰り返しでして今回もその例外ではありません。
二つの展示はそれぞれ考えることが多くてあんまり見てる感じがしませんでした。
私はとにかく写真を見て撮影者は何を感じたのかなあ?と言う思考を繰り返したのが「TOPコレクション セレンディピティ 日常のなかの予期せぬ素敵な発見」です。
写真はどれもその人なりの工夫が見えてみてる世界がそれぞれ違うし見え方すらそれぞれ違う感じがしました。
特に出発地と目的地がタイトルになった数枚の写真は一番不思議な写真で、ここに作者は何をみたのかなあ?と考えるとちょっと写真だけでは追いきれない何かがあるんだろうか?と思わずにはいられない感じです。
他にはチェキらしきものがパーっと並んでいる展示や身近なものを撮った静物写真やら複数の人物をカメラ目線で捉えたものなどさまざまでした。
問題は深瀬さんでした。
写真のスタイルが自分と全く違うのでギアを変えて鑑賞しないといけませんでしたこの作品群。
最初に見終わって後で感想を述べたりしたのですがその感想は正直あまりいいものではなかったかもしれません。
単純に個人的に良かったなと思えた写真は深瀬さんの作品で一番いい時期はセンチメンタルに過去住んでいた街を巡っては撮影したものでした。
そこの時期は一番自分が好きだなと思ったのですが・・。
後で帰宅して明け方目が覚め改めて展示内容を思い出してみるとこの展示を思いついた人の言いたかったことが見えたような気がしました。
最初は性へのなんていうか興味というか渇望というか、男性的な女性への強い関心が伺える内容から始まります。
世間的には攻撃的で攻めた写真という感じで捉えられてたんじゃないかなあと思いますがどうだったのかな。
そこから配偶者の女性を得た後も少しその傾向は続いていくんですがある時点から急に深瀬さんが女性という性別より女性という人間にフォーカスを変えていったような感じがするんです。
そして別離。
残念ながらその奥様とはお別れになってしまわれたのですが、そこからの深瀬さんの作品は自虐的な感じすらする内容になってそこから抜けられなくなります。
欠落点が埋められないまま先に進むって感じなのかなあ。
カラス、ゴミ捨てアイランド、猫との共生、センチメンタルな過去への旅、そして自撮り。
深瀬さんは奥様と出逢われて幸せに過ごしたところまでが前半でかつピークまで突き進み、後半はその別離から先に進んでいくもなんていうかそこは。
というのがこの展示の原点というか目的というか言いたかったことというか。
深瀬さんは撮影された写真でご自身の全てを曝け出すようにご自身の心の旅路を撮られておられたのかなと感じました。
なんだか切ないですね。
男って弱い生き物なのだ。