階段
Diary

なんてことないこの写真を撮るのに20分くらいかかった話

場所はすごくいい。

階段のある場所も雰囲気もすごくいい。

ちょうど桜の花が舞って綺麗だった。

外国人の観光客は洋の東西を問わずアジアから南北アメリカ、アフリカ、欧州よく見分けられないけどオセアニアとかからもきてるんだろう。

もう誰がどこの人かなんてわからない。

この階段はそんな旅行客っぽい人達がスマートフォンやデジタルカメラでパチパチ撮ってた場所。

自分も撮ってみようかなと思ったんだけど人が捌けるのを待ってみた。

そしたら上の方の階段で東洋系の女性を男性がずーっと撮影してる。

終わらないのだ。

撮影とは待つことも含む。

だからじっと待ってみた。

そうこうするうちに富士フィルムのミラーレスを持った欧州系の男性二人組もきた。

彼らも上の方で撮影会みたいになってる男女が撮り終えるのを待ち始める。

女性は階下の我々と何度も目があった。

でもずーっと撮影が続く。

私は柵に腰掛けて風に舞い散る桜の花びらを見ていた。

そのうち彼らも退くだろうと思ったのだが。

どかない。

ずーっと撮ってる。

そのうち欧州系の男性二人は苦笑いしながら階段を背にして立ち去ろうとする。

カメラを持った自分と同じ背丈の男性を見て目で「いいの?」と顔に出して見つめてみたが、彼は「いやもういいんだ」という感じで諦めたような苦笑いを浮かべて私たちは軽く会釈するような感じで別れた。

その後も座ってまった。

目の前にある大きな建物があり警備員がいて別の外国人七人組くらいの男女がその建物に吸い込まれ、しばらくして全員で出てくるまでみていた。

どんな感想をもったんだろうな。

そしたら東洋系の男性が階段を降りてきたのか私の目の前を通り過ぎる。

そんなに長くもない髪をかきあげたりしながら横目に私を気にしている。

ああ上にいた人この人なのかな。

後から女性も降りてきたがこっちは私を気にする様子なんかない、気にして欲しくもない。

二人が立ち去ったので撮ろうかなと思ったら別の旅行客が来た。

階段を上がる。

彼らは階段の写真を撮る。

今度は通り抜けながらの撮影なので普通に上まで上がり普通に左に曲がっていって立ち去った。

さあ撮ろうかと思うと。

最上段に女性が二人現れた。

一人は高校生の制服を着ている。

私は「ええ?」と声を出してしまった。

まだあんな短いスカートの高校生っているんだ。

階段である。

階下に私はいる。

カメラを持ってる。

詰んだ。

私はカメラから手を離し後手に手を組み階段を背にして、つまり回れ右して立って彼女たちが立ち去るのを待った。

音もなく階段を降りてきた二人が私の右脇を通りに抜けるタイミングで私は反時計回りに半回転し階段の方を見た。

女の子たちのくすくす笑う声が背後からする。

私はカメラの電源を入れ構え撮った。

階段
階段

ロケーションはいいと思う。

でも私の写真は平凡だった。

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