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映画・ドラマ

シドニー・ポワチエ(1927年2月20日 – 2022年1月6日)主演「夜の大捜査線」を改めて観て

映画の冒頭

シドニー・ポワチエさんが亡くなったのが2022年

この時に夜の大捜査線はすぐ地上波で放送されるかと思ったんですが放送されたんですかね?

自分は気付かなかったです

で、2年後の2024年改めてAmazonプライムにて400円レンタルして視聴した次第なんですがやっぱ面白い映画って見始めて15分くらいでわかるっていうけどそれをまた体験した気分でした

面白い映画のすごいところは始まって15分、特にこれっていう大きな展開もそんなにはないって事ですね

確かに夜の大捜査線だと始まってそんなに経たないうちに事件が起きて警察が動き出すので何もないってわけじゃないんですけど、でも事件もふわっと発生してあまり大袈裟な音楽や音が出るわけでもなくフワーッと始まるんですよね

でも最初からずーっと見せられちゃうところが凄いなあと思いました

 

黒人として初のアカデミー主演男優賞受賞者

シドニーさん自分はてっきり夜の大捜査線で受賞したと思い込んでいたんですが正しくは「野のユリ」という映画で受賞されてるそうです

この方そういう意味でも重要な俳優さんで公民権で揺れるアメリカ社会の当時そのアイコンの一人だったんじゃないかなあ

 

夜の大捜査線の面白さは背景にもあり

夜の大捜査線は静かで誰もがボソボソ喋っててボリュームを上げずにはいられない映画です

静かに始まって静かに終わっていくこの映画での面白みはなんと言ってもアメリカ南部という黒人差別の厳しい地域

グリーンブックという映画でもなんであれ白人のボディーガード雇ったかっていうと黒人のジャズミュージシャンがその南部に行くからでしたよね?

その南部に黒人の刑事が電車の乗り換えのためにたまたま駅に居たら白人警官に犯人扱いされるところから始まり、街の白人たちの根深くてちょっと陰鬱な差別に遭いながら事件解決に黒人刑事役のシドニーさんが関わって解決していくってストーリー

なんだけど

その黒人差別をストーリー的背景に持ちながら画面の背景映像もまた興味深いんですよね

とにかく栄えた街中のそれも中心街には白人しかいない

黒人が綿の収穫をしてその農場経営者は白人で経営者は労働を黒人にさせて経営者本人は温室で趣味に興じている

黒人労働者がふっと顔をあげると顔の左側が爛れてるんですけど多分あれは白人の経営者側の従業員か何かに殴られてる可能性を示唆してると思います

シドニーさんが行く先々でこうした黒人差別を間接的に、あるいはシドニーさん演じるバージル刑事本人が飲食店でサービスを断られたり、白人に殴られたり、集団で襲われそうになったりして黒人の置かれた状況をシビアに描いていきます

こういうの子供のうちに自分は見ましたけど現代の皆さんにも見ていただきたいですね

そういう社会背景や映像としての背景がくるくる変わるがわる我々に差別を見せていきますが

もう一つ今になってみると背景にある物

小物とかにも気になるものが多いのがわかります

一番興味深いのは看板ですね

どこに行ってもコカコーラの販売機や看板があった白人のいる地域と違って、黒人女性のやってる黒人向けの商店には黒人向けのドリンク看板があったんです

バージル刑事がその黒人女性の店に入った数秒だけシドニーさんの頭上にその看板が映し出されますからご覧になったらよく見てください

コーラのような飲み物をコップに注いでいる少女のイラストがあるんですけどその少女が黒人なんです

こういうところにも黒人と白人の根深いセパレートを感じてその時代と差別の厳しさを感じちゃう一幕がありました。

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