皮を巻いた球をいい歳した大人が投げていい歳した大人がそれを棒切れで引っ叩き芝生の上を転がると大人が集まってきて走り回ることを野球とは言わない
野球っていうのは長嶋茂雄がデザインした観劇に耐えうる一大イベントなのだ
価値というのは生まれたばかりの地球には何もなかった
しかし徐々に価値が生み出されたのだ
長嶋茂雄がそれをやった
グラウンドで
だから皮を巻いた球をいい歳した大人が投げていい歳した大人がそれを棒切れで引っ叩き芝生の上を転がると大人が集まってきて走り回ることを野球とは言わない
野球というのはあらかじめ予定できないアドリブ演劇みたいなものだ
ヒーローショーのようであり悲劇のようでもある
1994年
あの最終決戦と日本シリーズには10年以上に及ぶ長いストーリーがある
それは予定されていない
演者は地球を去ってしまったが
俺たちは忘れることはないだろう