(写真フィルム kodacolor 200 35mm Film & 撮影カメラ CONTAX T3)
刑事コロンボ

刑事コロンボ (12)「アリバイのダイヤル」はまるでガンダム。日本人はコロンボを誤解している?

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(12)「アリバイのダイヤル」

 

12話アリバイのダイヤルに関して私を含む日本人が誤解してる事

私ら完全にこの話誤解してると思います。

今見てて気になったんで実はどういう話だったのかを書きたいと思いましてキーボードを取りました。

ポール・ハンロンは単純に強欲だった訳ではない

人間間関係を簡単に整理すると

犯人のポールはスポーツチームやスタジアムを複数運営する会社の雇われ経営者でGMあるいはGMでもある?どっち?強烈なパワハラ体質の人。

被害者のエリックはフットボールチームのオーナーだった父親を亡くした息子で経営はわからないからポールを抜擢、本人は酒と奥さん以外の女と遊び回るプレイボーイ。

被害者の奥さんはエリックを一応愛してる?のかな、旦那さんの殺人者とも知らずポール・ハンロンを信頼しコロンボを遠ざけてしまう。

こんな感じ。

そしてポール

そしてポール・ハンロンはどうもエリックの未亡人となった奥さんの事を女と見てる、つまり横恋慕してるっぽい感じなんですね。

だから物語を最初からおしまいまで見てるとポール・ハンロンの殺害動機が

「拡大経営を続けるにもオーナーであるエリックが積極的でなく足手纏いになっている、エリックを殺して経営権を自分か奥さんに引き継がせて独裁状態にしたい、ついでに惚れてるエリックの奥さんも自分のものにしたい」

という風に見えちゃうんですがこれ違うんですよ。

 

エリックの葛藤

この誤解を解く鍵が実はこの被害者となったエリックさんの現状です。

エリックの死をコロンボから聞かされたリゾコーチ(フットボールチームの監督さんでエリックさんとお父さんを個人的にも知ってる人)が「かわいそうに」と感嘆するのですがここでエリックが何者であったかが語られます。

リゾさんのお話ではエリックはお父さんの期待を背負ってフットボール選手を目指した事があるらしいんですよ。

お父さんはエリックをクォーターバックって言いますからアメフトでは一番目立つ花形ポジションの選手に育てたかった、まあお父さんのチームのスター選手にしたかったんでしょうね。

だけどリゾさんのお話では選手としては大成しなかったっていうんですね。

エリックさんが酒と女の遊び人になってしまった原因はこのお父さんの期待に応えられなかった挫折がきっかけな訳です。

この部分読んで「え?」と思ったあなたは小池朝雄さんファンかな?

そうなんですよ、この話はオリジナルでは語られているんですが日本語翻訳された吹き替え版の方では語られてないんですね。

だから日本人である私なんかはてっきりエリックさんはお金持ちの息子さんが放蕩息子に転落したと見えるんですよ。

「親父さんは(エリックさんを)この仕事の後継にしたくて」

という台詞が流れるシーンはこのようなシーンなんです。

刑事コロンボ 12アリバイのダイヤルでリゾコーチがエリックについて語ってるシーン
刑事コロンボ 12アリバイのダイヤルでリゾコーチがエリックさんについて語ってるシーン、お父さんはエリックさんをクオーターバックにしたかったと語っています、だからリゾコーチはクオーターバックのアメフト選手が下がりながらよくやる右手でボールをスローする仕草をしてるんですが吹き替え台本だとここのセリフが経営の話になってます。アメリカ人は不思議な仕草をするなあと当時NHKの放送を見た人はみんな思ったのかも。

ところがここで語られてるセリフは前述のエリックさんをクオーターバックにしたかったというセリフなんですね。

だからリゾさんはボールを投げる仕草をしてるんです。

 

エリックの人柄

一方でエリックさんは誰からも好かれていたとリゾコーチは語っています。

アメリカンフットボールをやってただけあってプールをクロールで何往復もできるほど運動に対しても達者なスポーツマン。

性格的にも好かれやすい人だったんでしょうね。

つまり彼を恨んでいる人なんて一人もいないと。

でもそうでしょうか?

実はここにはリゾコーチならではの物の見方と裏で起きてる別の案件がありました。

それがポールの焦燥感です。

 

ポール・ハンロンが抱く焦燥感

ポールは事件当日、自分が経営を任されているアメフトチームの試合を見にきています。

ロサンゼルス記念コロシアムで大観衆を集めての試合でポールにトマトジュースと氷を用意させられたボーイ?の男性は「ワグナー(エリック)さんが来ると思った」と言っています。

ところがポールは彼は自分のチームの試合に興味はないと吐き捨ててます。

しかもポールはエリックさんに電話してエリックさんの代わりにここに居るよと語っています。

つまりポールからするとエリックさんは自分の職責も果たさず、時間勝負の買収交渉では「アイスホッケーなんかペンギンにやらせておけ」などと返事してきて買収交渉に必要な書類へのサインに応じようとせず足手纏いになってるわけです。

しかもポールが惚れてる(横恋慕してる)奥さんが居ながらエリックさんは別の女をアテンドすると家にホイホイあげて酒と女でどんちゃん騒ぎしちゃう人なわけです。

少なくともポールからだけはエリックさんはそういう人に見えてた訳です。

 

ポール・ハンロン実はエリックの奥さんなんか好きじゃなかった説

これって私の感想なんですけどもしかしたらこのエリックさんの奥さんをポールが好きだったというのは誤解なんじゃないかとも思いました。

ポールは基本的に女性にキツイです。

秘書の女性があっという間に辞めて後任の女性秘書にもキツく当たってるしそういう性格なんですよね。

でもエリックさんの未亡人にだけ過剰に優しく接してるのはなんか不自然な感じもするんですよ。

あれあくまでも会社の経営権を掌握するために奥さんを懐柔しようとしてあの態度なんじゃないですかね。

だから弁護士のおじいさんもポールを警戒して嫌ってるって訳です。

繰り返しになりますけどこれって私の感想です。

 

動機はたっぷりあった

だからポールからすると

  1. エリックさんは不真面目で好きになれない
  2. エリックさんは経営の足枷になる
  3. エリックさんは奥さんに酷いし(ポールは横恋慕してるから?)奪いたい

という動機があったと考えられます。

一方でエリックさんからすると挫折した人生なわけです。

でも人からは好かれる性格だしモテるしお金もあると。

そうするとこういう荒れた生活に陥りがちだったんじゃないかと思います。

 

よく練られたシナリオじゃないですかこれ

だから殺人者のポールにも一定の動機が感じられるし反面エリックさんの側で見てもリゾコーチのおっしゃる通り可哀想な息子さんでもあるんですよ。

まるでガンダムみたいじゃないですか?

だってエリックさん(連邦軍)もポール(ジオン軍)もどっちも悪いところがあるでしょう?

なんていうか人と人ってこういうふうに上手くいかないよね?っていうところが示唆されていて、ちょっと別れのワインを思い出しちゃいました。

 

 

 

 

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